Twitter

最近のトラックバック

友人

« 仙台で4月2日に「ぼくはうみがみたくなりました」を上映! | トップページ | 感情コントロール The CAT-kit 指導法セミナー(基礎講座)を受講した »

2010年3月 6日 (土)

学校で防災の教育を受けましたか?

▼チリ地震と避難行動 

先日,チリで大地震が発生して津波が日本までやってきた。チリ地震と言えば,少しでも防災のことを学んでいる人なら,数十年前にチリで起きた大地震で日本にも津波が到達して多くの人が亡くなったという史実を思い出したのではないだろうか。もう少し正確に書くと,1960年5月24日未明,宮城県から岩手県の三陸沿岸を中心に最大6mの大津波が来襲し,142名が亡くなるという災害があった。

そのときのマグニチュードは9.5。観測史上最大級の地震である。今回のチリ地震はM8.8と一回り小さかったので(それでも1978年宮城県沖地震の100個分),前回ほどの津波はもたらさないだろうと想像できた。それでも,かなり大きな津波が来ることは明らかだった。

気象庁は地震の翌朝に大津波警報を出し,チリでの地震発生からほぼ丸1日たった夕方に,気仙沼など三陸沿岸で1m以上の津波が観測された。気仙沼では津波が街の中に押し寄せて道路が冠水したり住宅や商店が浸水被害を受けた。

大津波警報を受けて,住民がどの程度避難するのか注目していたが,避難指示・避難勧告を受けて実際に避難した人が6%ほどというのは,予想外に少ない人数で驚いた。中には津波に乗りたいとサーフィンをしている人も1000人以上もいたということで,これにはもっとビックリした。

▼学校で防災教育がなされない現状 

気象庁から出された情報にしたがわない住民が多かったのには,いろいろな原因があると思うが,その中の教育の側面を私は問題にしたい。皆さんは,学校生活の中で防災教育を受けた記憶があるだろうか? 単なる避難訓練(緊張感なくゾロゾロと教室からグラウンドに出るあの訓練)ではなく,地震や津波はなぜ起こるのか,それが起こるとどうなるのか,被災しないためにはどうすればいいか,過去の地震や津波でどのような被害が起こったのか,などを,学校の先生から学んだ記憶がありますか?

火山や地震がどういうものかは,中学校の理科で少し学んでいるはずだが,それを「防災」という観点で学んでいる人はほとんどいないのではないだろうか。学校のカリキュラムの中で「防災」というのは位置づけにくい分野なのだ。自然現象の側面があり,社会のしくみや人の暮らしという側面もあって,既存の教科の枠に収まらないからである。

世界中で起こる地震の10に1つは日本で起こると言われている。地震が海底で起これば津波も起こる。地震や津波だけでなく,火山噴火や台風による風水害も毎年のように起こる。日本は自然災害の見本市のような国なのに,そういう災害を防ぐための教育は非常に貧弱なのが現状だ。

▼防災教育を学校に! 

例えば,今回のチリ地震でサーフィンをしていた人が,それ以前にこういう映像を見たことがあったとしたら,それでもサーフィンをしに行っただろうか?

Tsunami(2004)
http://www.archive.org/details/tsunami

この映像は,2004年のスマトラ島沖地震の際にプーケットで撮影された津波の映像だ。突然やってきた津波であっという間に流されていく2人の海水浴客。レストランの家具は浮かび,ガラスの割れる音がする。高校で理科総合Bを教えていたとき,科目の守備範囲からちょっとはずれるけど地震や津波の防災について深入りし,このビデオも必ず見せていた。

この映像を見て,それでも津波に乗れる,人の生死がかかった中でも自分は楽しみたい(命をかけて)と思う人がいるならそれを止めることはできないが,そんな人が日本に1000人以上いるとは思いたくない。

今回の大津波警報でも逃げなかった人,あるいは第一波の津波の低さを知り家に戻ってしまった人,そしてサーフィンをしていた人…津波に対する無知がそのような無謀な,自分だけでなく他の人をも命の危険にさらすような行動につながるのだとしたら,教育によって彼らの行動を変えていくことはできないだろうか?

▼みやぎ防災教育基本指針 

宮城県では,昨年度「みやぎ防災教育基本指針(PDF)」という計画をまとめ,冊子にして各学校に配布した。その中には,幼稚園から小中高校の発達段階に合わせた防災教育の指導系統図があり,自分の身を守る知識や技術や,被災した社会を立て直すための行動ができるところまで,教科横断的・総合的に指導することが示されている。

防災担当者の会議でこの内容が説明されて,本年度から実施されることになっているが,現場の動きは予想以上に鈍いと感じている。宮城県は「次の宮城県沖地震」がいつ起きてもおかしくない状況にあり,それほど猶予があるわけではない。このまま無策,無教育で地震が起きてしまって,多くの被害を出すのであれば,前回の宮城県沖地震や阪神大震災などの教訓がまったく生かされないということだ。

宮城県の地学の教員も,これではいけないと思って,防災教育に使えるデータやプレゼン資料を収録したCD−ROMを作成して県内の各高校に配布している。こちらの利用状況もはかばかしくないが,今はこれをもっと使ってもらうために,パンフレットや指導案づくりに取り組んでいるところだ。

私も今まで学校の仕事で忙しかったが,なんとか一段落したところで,今日はこの地震防災に関する仕事に取りかかる。さあ,がんばるぞ〜!

« 仙台で4月2日に「ぼくはうみがみたくなりました」を上映! | トップページ | 感情コントロール The CAT-kit 指導法セミナー(基礎講座)を受講した »

教育」カテゴリの記事

科学」カテゴリの記事

防災」カテゴリの記事

コメント

コメントありがとうございます。
久しぶりに自分も記事を読み返してみました。これを書いた時点で,猶予は1年しかなかったわけですね。何もできずにその日を迎えてしまったと,改めて感じます。
もともと地学の教員で,防災にはそれなりに興味を持ち,授業の中でも取り上げてきていました。でも,やはり真剣みが足りなかったと言わざるを得ません。

たくさんの命の犠牲を払って学んだことを,しっかり次の世代に伝えていく,本気で防災や防災教育に取り組んでいく。そのことで,次の大災害で命を落とす人を減らしていきましょう。次世代の大人を育てている教員の役割は,少なくないと思います。

なんとなく光明のことを調べてたら、山口先生のホームページ発見!震災のほぼ1年まえに防災教育について述べていてさらに驚き(>_<)
まだまだiPhone使いこなせてないですが、色々学ばせてください(^-^)/

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519609/47735745

この記事へのトラックバック一覧です: 学校で防災の教育を受けましたか?:

« 仙台で4月2日に「ぼくはうみがみたくなりました」を上映! | トップページ | 感情コントロール The CAT-kit 指導法セミナー(基礎講座)を受講した »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Flickr

  • www.flickr.com
無料ブログはココログ