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2010年3月15日 (月)

感情コントロール The CAT-kit 指導法セミナー(基礎講座)を受講した

昨日,北海道の帯広にほど近い芽室というところで開催された,The CAT-kit の指導法セミナー(基礎講座)を受講した。今は札幌のホテルの一室でこれを書いている。

さて,The CAT-kit の CAT というのは Cognitive Affective Training の頭文字で「認知的感情トレーニング」とでもいった意味だ。主に発達障害の人を対象に開発された,感情認識とコントロールのための学習教材(群)である。自閉症の人の特性にしたがって,目に見えない「感情」というものを,目に見える形で理解できるように工夫されている。この講座の参加費には教材のお金も含まれていて,分厚いファイルに綴じ込まれた教材一式を受け取ることができる。

講座の内容は,午前中が服巻智子先生の講義で,自閉症の人の感情の特性についてと,CAT-kitによる指導の概略について。午後は前半が「それいゆ」スタッフからの事例報告,後半が服巻先生による CAT-kit を使いながらの体験的な学習だった。

受講して思ったことは,発達障害(発達年齢7歳以上)のこどもや大人にかかわるすべての支援者に,この指導法を知ってほしいということだ。

外国ではどうなのか知らないが,少なくても日本では,親はもちろん教員も,こどもたちの感情について指導・支援するためのトレーニングを受けていない。それなのに,家庭や学校では日々感情に起因する問題が起こっているのである。そもそも,親や教師自身の感情をどうコントロールするかすら個人に任せられている状況であり,周囲を見渡してみると,感情の処理がうまくいってない大人は(自分を含めて)たくさんいるのが現状だ。自分の感情もうまく取り扱えない人が,こどもたちの感情についてうまく支援できるとは思えない。

ところで,私がこのセミナーを受けようと思ったきっかけは,教材の中に「温度計」の絵を発見したからだ。感情の段階(例えば少し怒っているから激怒まで)を温度計の水銀柱に模して理解させるための教材である。

感情を温度計で視覚的に比喩するやり方は,私が以前から学んでいるプロジェクト・アドベンチャーの「対立がちからに」の中でも紹介されている。この中では「温怒計」という名前で,怒りの感情に特化した使い方をしている。

ずいぶん前の話になるが,とある高校に勤務していた頃,この「温怒計」を使って対教師の暴力事件を起こした生徒を指導したことがある。当時その生徒は1年生で,自分の感情をコントロールできない状況だった。たしか身なりを軽く注意されたことがきっかけで,激高して教師に向かっていったんだと思う。

その事件の特別指導の中で,「温怒計」をやった。まずその生徒の怒りの段階に名前をつけて目盛りに落とす。次に,それぞれの怒りの段階で自分がどんなふうになるのか,どんな場面・状況でそうなるのかを,対話しながら目盛りの近くに書き入れていく。最後に,この温怒計の上昇をおさえる(コントロールする)方法を一緒に考える。

最後のコントロール方法の話し合いの中で,生徒が選んだ方法は「水を飲みに行く」だった。私はそれを聞いたとき,そんな方法で本当に気持ちを落ち着かせることができるのかな? と思ったのだが,自分で決めた方法なので,それをぜひやってみるようにと励ました。そうしたらその生徒は,その後,本当にそのやり方を実践して,暴力事件を再び起こすことなく卒業していった。

怒りの感情レベルを視覚化すること,その上でそれをコントロールする方法を一緒に考えることで,生徒は劇的に変わるということをその一件で理解できたので,The CAT-kit の教材のひとつに「温度計」を見つけたとき,これは使えるとピンと来た。

うちの高等部では,来年度,「人とのかかわり」を指導の重点項目としてかかげることになっている。というのは,それを掲げなければいけない状況が日々あるということだ。しかし,指導しなければいけないと分かっていても,何をどう指導するのか,そのコンテンツについては白紙のままだった。今回,The CAT-kit を学んで,関連する書籍を購入したことで,具体的な指導の中身が見えてきた。

最後に蛇足ながら付け加えると,本当にその生徒の感情に寄り添って指導できるかどうかが,CAT-kit による指導の成否を分けると思う。こちら側から生徒の感情を「正しく」操作しようという意図があるとうまくいかないだろう。CAT-kit はあくまでも,生徒が考え気付く中で,自分の感情コントロールの方法を身につけていくためのものだ。

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コメント

そうですか〜! 私は一番前の席に座っていて「10段階ではうちの生徒には多すぎると思うんですが,間引いて教えたりすることもあるんですか?」と質問した者です。(いつも5段階ぐらいで教えていたので)

感情の責任は自分にあるという感覚,日本で教えてくれるところはなかなかないですよね。でも,とても大事な感覚だと思います。自分の心に生じた怒りを,周囲の人のせいにしてしまっては,何も変わらないですから。自分の感情をモニタできること,それをコントロールする方法を複数持っていることは,自閉症の人たちに限らず,誰にでも必要なことですよね。

私もあの講習を受けて,心にヒットすることがありまくりでした。あ,この話は○○くんだ,こっちの話は△△くんだ…などなど。自分の指導のまずさについても,いろいろ感じるところがありました。今年度は終わってしまったので,この学びを新年度にしっかり生かしていきたいです。

はじめまして。私も講習受けてましたよ。私は、自閉症児の保護者なのですが、CAT-kitをもっと、子供に関わる人みんなに知って欲しいってすごく思いました。講習を聞いていて、自分の感情を修復するのは自己責任っていう言葉にとても刺激を受けました。

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