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2011年8月10日 (水)

高校生・青少年赤十字リーダーシップトレーニングセンター(宮城)

8月2日〜4日の2泊3日の日程で,国立花山青少年自然の家を会場に高校生の青少年赤十字リーダーシップトレーニングセンター(トレセン)が行われた。参加した生徒は32名。その中には,今回の震災で津波の被害を受けた宮城水産高校,石巻商業高校,石巻好文館高校,石巻工業高校の生徒もいた。

平成6年から毎年指導者として参加しているが,今年は震災対応で日本赤十字社宮城県支部が大変なことになっているので,てっきり実施されないものと思っていた。ところが,日赤は「こんなときだからこそやる」と言って開催した。震災後のこの時期に,高校生の青少年赤十字(JRC)のメンバーが集って,2泊3日の時間を共にしたことには大きな意味があったと,トレセンが終わった今,しみじみと感じている。

トレセンの中の重要な活動にワークショップがある。5名程度の小集団に分かれて,身の回りにある問題点を一つ取り上げて,それをJRC活動でどのように解決していくかを話し合う活動である。話し合った成果はJRCの活動企画の形にまとめて,最終日に発表する。

指導者からテーマを与えるときもあれば,与えないときもあるのだが,昨年度は「津波」というテーマを与えて話し合いを行った。昨年度の開催場所は志津川自然の家だったので,ワークショップに先立って,志津川の海沿いの集落をグループごとに歩いて,津波の時の避難路を示す看板などを見学した。その集落は,311の津波で壊滅的な被害を受けた。

そんなこともあって,今回の震災後に行われるトレセンで「震災」を無視して進めるわけにはいかなかった。しかし,参加する学校の中には校舎が津波に襲われて被害を受けた学校もある。生徒の中には,自宅が流されて仮設住宅で暮らしている生徒もいる。そのような「災害まっただ中」の状況で震災をテーマにトレセンを行うことで,生徒の心の傷をさらに深くすることにつながらないか? そんなことを心配しながらの開催であった。

以下,私が印象に残った部分を中心に振り返る。

<アイスブレーキング>

毎年私が担当する,トレセンで一番最初の活動が,このアイスブレーキング。冒険の森で行う予定だったが,霧雨が降ってきて,会場をオリエンテーション室に変更。予定していた活動のいくつかを差し替えざるを得なくなり,私としてはちょっと残念なスタートだった。しかし,生徒たちの作文によれば,この活動によって緊張した気持ちから解放されて,トレセンの3日間に前向きな気持ちになれたようだ。

・キャッチ
・ラインナップ(今朝の起床時間,通学時間,寝る時間,ニックネームの50音)
・ネームトス(右左の人を覚えてシャッフル)
・カテゴリー(携帯のキャリア,学年,ワークショップのグループ)
・ミラーストレッチ
・道場やぶり
・ビート

<学校紹介と震災体験の共有>

P1000100_21日目の夜に,学校紹介と震災体験の共有の時間を持った。生徒たちがそれぞれの学校でどんなふうに震災を体験し,それを乗り越えようとしているか。その一生懸命さが発表から伝わってきた。生徒たちは互いに真剣に仲間の学校の話を聞き,私たちは生徒たちのそういう姿にジーンとするものを感じた。

生徒たちが震災体験をどう伝え,どう受け止めるのか。私たちは不安で一杯だったが,生徒たちの様子を見て,安堵すると共にやってよかったと感じた。また,今回のトレセンメンバーはいつも以上に仲が良くなって一体感のあるチームになっていったのだが,そのスタート地点がここにあったと,今,感じている。

<ひまわりオジサンの講話>

2日目の午前中に,ひまわりオジサンの名前で知られている,NPOひまわりの夢企画の荒井勣さんに講話をいただいた。ひまわりオジサンは,阪神淡路大震災のときに震災ボランティアをはじめ,以来,日本各地の被災地でボランティア活動をされている方である。今回の東日本大震災でも全国からお茶わんを集めて仮設住宅の被災者に無料で配布するという「お茶わんプロジェクト」に取り組んでいる。

今回のトレセンを「震災」に焦点を当てて進めるに当たって,ぜひ荒井さんに話をしてもらって,震災時のボランティアとは何なのかを生徒たちに感じてもらいたいと思った。人生をかけてボランティアに取り組むひまわりオジサンの話に,生徒たちは感銘を受けた様子だった。また,ボランティアを行うに当たって,発想力と実行力が必要だと思った生徒たちも多かった。講話の後,班ごとに感想を話してレポート用紙にまとめたものを紹介する↓。

P1000135 P1000136

・東日本大震災の被災地にお茶わん(食器類)を贈ろう!
 http://sphinx.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-ff1f.html

<先見>

Img_2328今回の震災を体験して,身をもって感じたことの一つに,少し先の未来を見通すことの大切さがある例えば,支援物資は必要なものが刻々と変わっていった。今、必要なものが明日はいらなくなる。そのような状況の中で、必要になってから集めても意味がなくて,あらかじめ次を想定して集めておかないと役に立たなかった。

青少年赤十字のトレセンには「先見」という時間が朝一番の活動として設けられている。1日の最初に,これから起こる出来事について心の準備をしておくための時間である。今までは,生徒の個々の取り組みに任せていたところがあったが,私たちが震災で学んだのはこの「先見」の大切さであると気づき,今年はこの「先見」を生徒に意識的に伝えていこうと考えた。

そこで今回は,朝6時半に研修室に集合し,そこから施設周辺の自然のなかに一人で歩いて行き,誰ともしゃべらずに時を過ごすという活動にしてみた。みんな黙って思い思いの場所に歩いて行き,自然の中に佇みながら,自分に向き合っている姿が見られた(写真はその時に私が森で見ていた景色)。その後,トレセンのいろいろな場面で「先見」に関連付けて活動を進めることができた。荒井さんの講話の中にも,先を見て動く大切さについての話があった。最終日に書いた作文にも先を見る大切さについて触れた生徒が多く,生徒たちの心にしっかり刻まれたと思う。

<気づき,考え,実行する>

トレセン2日目から小グループに分かれ,「今,JRCができる震災ボランティア」というテーマでワークショップを行った。被災地の高校生として,またJRCの一員として,震災で苦しんでいる人にどんなことができるのかを考え,話し合った。JRCには「気づき,考え,実行する」という態度目標がある。ワークショップは,この「気づき,考え,実行する」を練習する場という位置づけである。

3日目に,話し合った成果の発表会を行ったときのこと。今年は話し合いの時間が例年より短かったこともあってか,発表内容のレベルがやや低かった。発表時間も与えられた時間の半分以下の班がほとんどで,すべての班が発表して講評を終えた時点で30分近く余っていた。そこで「今から20分の時間をあげるから,自分たちの企画内容についてもう一度考えて,修正点を模造紙に赤で書き入れてみよう」とやってみた。さらに残りの10分で各班から修正点の発表もしてもらった。

こういうやり方ははじめてだったが,これがとっても良かった! わずか20分の修正で,それぞれの班の企画内容が格段にレベルアップし,実現可能なものになった。生徒たちには「気づき,考え,実行する」ってこういうことだよ,と伝えた。

<ナイトハイク>

例年だと2日目の午後に,グループで野外を歩くフィールドワークを行うのだが,今回は震災をテーマにしていろいろ日程をいじったので,フィールドワークができなかった。その代わりに,2日目の夜に暗闇の森を歩く「ナイトハイク」をはじめて実施してみた。

ワークショップの班ごとに,ランタン1つと懐中電灯1つの灯りだけで,真っ暗な森を歩いてくる。迷ったりケガをしたりする生徒がでるといけないので細心の注意を払って実施したが,生徒たちには安全が守られすぎたようで,「もの足りない〜」と言いながら帰ってくる生徒が多かった。

それでも,森の中でライトをすべて消して,森の中から聞こえてくるいろんな音に耳をすませた経験が,とてもよかったと作文に書いた生徒がいた。生まれて初めてホタルを見たという生徒もいた。

<全体を振り返って>

そんなこんなで,いつも以上にあっと言う間の3日間が終わった。3日目には「みんなと分かれるのはさびしい」「この仲間で1つのクラスならいいのに」という声が聞こえてきた。トレセンの3日間を過ごすと,毎年必ず別れがたい気持ちになるものだが,今年の生徒は例年以上に3日間で結びつきを強め,仲よくなっていた様子だった。

きっと「震災」という非常時の中での3日間ということが,その理由の一つだろう。上に書いた活動以外にも,例えば救急法では三角巾で負傷者の手当をする方法を学んだ。震災の記憶の新しい生徒たちなので,いつも以上に熱心に取り組んでいた。

トレセンを行う前は,震災を話題にすることで,心の調子を崩してしまう生徒がでるのではないかと心配したが,生徒の様子を見ている限り,そのようなことはなかった。むしろ,震災という共通体験でみんながつながり,これから自分たちのできることをしっかりやっていこうという意欲が芽生えたようだった。

実は,このトレセンであるグループが企画した「笑顔・夢プロジェクト」という活動が,トレセンの3日後の日曜日に,東松島市の仮設住宅で実際に行われた。次の記事で詳しく書くが,そのプロジェクトには,企画したグループの生徒だけでなく,他のグループの生徒もたくさんサポートメンバーとして参加した。

2泊3日ともう1日のボランティア体験は,生徒たちにとってとても大きな学びの場となったと思う。この震災を体験した被災地の高校生たちが,これからどうなっていくのか,多くの人が注目していると思う。高校生は社会に影響を与える力を十分に持っている。この震災体験から何かを学んで,立ち上がってほしい。このトレセンがそのきっかけの一つになればうれしい。

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コメント

本当にそうです。
少し未来を見通す力のあるなしが,結構,人生を左右しますね。
私はもともとこれが苦手なので(自覚がある!),今まではそれでいいやと思っていたのですが,この震災で必要性を痛感して,以後,少しでも見通す力を育もうと努力しています。

震災の先の見通しといえば,椎の木さんに送っていただいた支援物資は被災地のその時のニーズをよくとらえていて,先見の力がありましたね。その節はお世話になりました!

「少し先の未来を見通すことの大切さ」
 震災時に限らないですね。

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