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友人

MAP(冒険教育)

2012年7月28日 (土)

具体的な方法より前に価値感を共有する

講演会や研修会で一番伝えたくて一番伝わらないのが,価値感かもしれない。

うちの学校で夏休みに入って2つの研修会があった。一つは「分かって動ける授業づくり」で有名な藤原先生が校長先生をしている筑波大学附属大塚特別支援学校の安部先生の講演,もう一つはTEACCHについての講演(こちらは出張で聞けなかった)。

安部先生の講演は,私たちが2年前に取り組んでいた研究とシンクロするところが多く,心の中で何度も膝を打ちながら聞いていた。こどもたちが授業の中で分かって動けること,自閉症の人の文化を尊重して共存すること。これらのことは,そういう価値感をもっている人には言われなくても自明のことなんだけど,どうも周りを見渡していると,そういう発想のない人が少なくない。

MAP(みやぎアドベンチャープログラム)にしても,こどもたちの体験から学びを引き出していくとか,多様性を大切にしながら集団として機能させていくということは,私たちからすると当たり前のことなんだけど,これが意外なほど通じないことが多い。

講演会や研修にあるのは具体的な方法で,そのベースとなる価値感は,講演や研修の深層を流れている。もともとそういう価値感をもっている人のアンテナには引っかかる。でも,そういうアンテナを持っていない人は,自分の力でそれを掬い取ることができないのかもしれない。

何日も何時間もかけて具体的な方法を研修しても,価値感が共有できないままだと,結局身に付かない。逆に,価値感をしっかり共有できれば,具体的な方法は自分から学びたくなるんじゃないだろうか。

でも,価値感を共有するってムズカシイ。どうすればいいんだろう。

リッツカールトンのクレドと,クレドを使った毎朝のミーティングは,一つの参考になりそうだ。でも,講演会や研修会という1回きりの機会ではそういう方法は使えない。ワールド・カフェはどうだろう。これなら1回の研修でもなんとかなるか。

教師として大切にしていることは?
教師をしていてうれしいと感じるときは?
こどもたちが伸びるのはどんな授業?
こどもたちが幸せな人生を送るために,今必要なことは?

明日の日曜日,MAP研究会では「体験ベースのクラスづくりワークショップ」という研修会を行う予定だった。しかし,参加者がグループワークをするだけの人数に達しなかったので中止となってしまった。先日の初任研でも宣伝したのだけど,結局,初任研のMAP体験会を受けて参加申込みをしてくれた人はいなかった。「価値を伝える」とか「価値感を共有する」ということに,もっと気を配るべきだったと今,感じている。

でも,2時間に満たない体験会で,価値感の共有は至難の業だよね〜。2泊3日の初任研の宿泊研修の中の,せめて1日目の午後全部をMAPにやらせてもらえないかな…。

2011年12月27日 (火)

ひまわりオジサン,サンタクロースになって被災地に現る!

夏のJRC高校トレセン(青少年赤十字のリーダー研修)で,震災ボランティアについての講師をお願いした「ひまわりオジサン」こと荒井勣さんが,クリスマスを迎えた被災地のこどもたちにプレゼントを渡しに来てくれました。

その様子が,読売テレビのホームページに動画で紹介されているので,ぜひご覧ください。

かんさい情報ネットten!
2011年12月23日 放送
思いを届けたい…神戸のサンタが東北へ
大津波の被災地にやってきたサンタクロース。クリスマスを笑顔で迎えてほしいと、プレゼントを準備したのは神戸の子ども達でした。
http://www.ytv.co.jp/ten/sp/index.php?dateList=201112

昨日電話をいただいたのですが,被災地のこどもたちに贈るクリスマスプレゼントを募集したところ,確か200箱で2000人分ぐらいが集まったとおっしゃってました。

その中には,神戸のこどもたちが準備したプレゼントもあったんですね。こういうところが,ひまわりオジサンの素敵なところ(すごいところ)だなーと思います。

今回のクリスマス企画には,夏のJRCトレセンに参加した生徒たちも誘っていただきました。生徒たちにも大きな刺激になったことでしょう。私も参加したかったのですが,仕事があって断念しました。でもこの番組で少し様子が分かってよかったな…ということで自分を納得させています。

…あー行きたかった!

<過去の関連記事>
2011年8月10日 (水)
高校生・青少年赤十字リーダーシップトレーニングセンター(宮城)
http://sphinx.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-6a64.html

2011年5月 3日 (火)
東日本大震災の被災地にお茶わん(食器類)を贈ろう!
http://sphinx.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-ff1f.html

2011年11月12日 (土)

みやぎ県民大学「生涯学習支援者養成講座・入門編」MAP体験

11月9日(水)に,みやぎ県民大学「生涯学習支援者養成講座・入門編」のファシリテーション講座を担当した。今年で3回目。参加者は,公民館やNPOなどで生涯学習にかかわっている方々で,20代から70代まで幅広い年齢層の皆さん。

MAPのアクティビティをつかってファシリテーションについて体験的に学ぶのが中心だが,その前に「解説編」として,ファシリテーションとは何かということや,この後に行う活動の意味や意図といった説明を行っている。

今年は参加人数が12名と,例年の3分の1だったこともあり,「解説編」でプレゼン・ソフトをつかうのはやめて,模造紙とホワイトボードでこぢんまりとやってみた。ちょうど前の週に読み終わったスティーブ・ジョブズの伝記に出てきた「自分の仕事をちゃんと分かっている人は,パワーポイントなんかいらないよ」というジョブズの言葉にも,少し刺激されたかもしれない。

今年の解説編では,私がつい先日参加した「親子ステンドリーフづくり」という講座を例にとって,参加者としてどう感じたか,この講座の参加者の満足感をもっと上げるにはどうしたらいいのかという話を,ファシリテーションという言葉を紹介しながらお伝えした。

その際のキーワードは多様性と一体感。生涯学習の○○講座というテーマに興味を持って集まってくる参加者だから,いわば同好の士。同好の士としての一体感を感じてもらいながら,それぞれの多様性(感性,アイディア,体験など)を発揮してもらって,講師と自分という関係だけでなく参加者同士が互いに影響し合えるような講座になると,参加者の満足感は高まる。また,講座の参加者がみんなでたどり着くゴールを明確に設定して,そこに向かっていくことで,一体感を感じることができる。参加者の多様性を引き出しながら,みんなをゴールに導いていくのがファシリテーション。

さらに,それを実現するためには準備が必要で,準備の目的は参加者が心の壁をさげて,互いに安心・安全な場をつくっていくこと。具体的には,情報の共有/ルールの確認/楽しい雰囲気作りの3点。では,実際に体を動かしながら,その辺のことを体験していきましょう。

こんなかんじで説明したけど,いかがでしょう? 皆さんもこの説明に同意します?
さて,MAP活動のシーケンスは次のとおり。午前中が安心・安全な場をつくる準備の活動で,午後が生涯学習講座の主活動という位置づけである(今回の主活動は「チームワークを高めよう」という講座だと仮定して,参加者の皆さんが講座を行うときはここをそれぞれの講座に置き換えてもらう)。

午前 ○ブリーフィング(名前を覚えよう,楽しく安全に,疲れたらタイム)
   ○キャッチ
   ○ラインナップ(誕生日,ここまでくる時間,呼ばれたい名前)
   ○セブンイレブン自己紹介(エムブレムを使って)
   ○ネームトス(右回り,左回り)
   ○LRネーム(右,左,私,あなた)
   ○ペア・コミュニケーション(好意的な関心の態度,聞きあう)
     ・今日の朝ご飯(1分)
     ・私のオススメの場所(3分)
     ・人とコミュニケートするときに大切にしていること(3分)

午後 ○親指チェック(今の体力は?)
   ○ブリーフィング(午前中の活動について,午後の活動について)
   ○はい・いは・どん!
   ○トレジャー・ハンティング(YESなら署名)
   ○紙風船お手玉
     ・1人で30回
     ・2人で30回
     ・2人で2個を同時に…
   ○オセロ紹介
   ○ワープスピード
   (ここから振り返り)
   ○3人で Good and New
   ○フルバリューカード(写真)で感想をひと言ずつ
   (解散の儀式)
   ○手拍子パーカッション

反省としては,午前中にポストイットを使ったルール作りの活動を入れたかったのに,時間がなくて入れられなかったこと。それから,午後のワープスピードの前に,もう1つか2つ,全員で課題に挑戦する活動を入れたかった。時間は決められているので,時間が足りないというのは言い訳になるのだけど…。

今回の講座で,私にとっての Good and New は,紙風船お手玉と手拍子パーカッション。

紙風船お手玉は,夏にMAP研究会で「体験ベースのクラスづくりワークショップ」を開いたときに,東京から参加してくれたりょうちゃんに教わったもの。紙風船を2人〜数人でトスしあう活動で,紙風船の数が増えると(例えば2人で2個とか),とたんに難しくなって,話し合いや「せーの」といったかけ声が出始める。これ,自分でもやってみたら,むちゃくちゃ楽しい! 紙風船を取り出すだけで,場が和んで会話が生まれるのも○。今回の講座でも「昔は富山の薬売りがただでくれた」「そうそう」と,年配の方中心に昔話に花が咲いた。

もうひとつの手拍子パーカッションは,一番最後の締めで行ったもの。いつもならみんなで丸く輪になっている状態で,両隣の人の手と自分の手でパンと一回拍手をして「みんなで一本締め」という感じで終わるんだけど,そこをもう少しエレガントにできないかなと思って,ふと思いついた。

思いついたと言っても,手拍子パーカッションのリズムは,インターネットで「手拍子の花束(バージョン1)」というのを見つけて,それをやってみたということでオリジナルではない。「手拍子の花束(バージョン1)」は4拍子の2小節という小さな作品で,3つのパートがそれぞれのリズムで手拍子をして,それを組み合わせていく。何度か練習した後,小さな手拍子から大きな手拍子へと音量の変化を付けながら4回繰り返した。4回目に思いっきり元気に手拍子でリズムを刻んで,ビシッと決まると,心地良い一体感が感じられた。

今回の講座でチームワークを高めた参加者の皆さんは,これから4回の講座の中で,小グループをつくって生涯学習講座の企画・立案をしていく。どんな企画が生まれるのかな。私も参加者の皆さんと,そこまで一緒にいたい気がする。

2011年9月18日 (日)

自閉症カンファレンス NIPPON 2011 に行きました(その1)

8月27日(土)から28日(日)にかけて,早稲田大学で開催された自閉症カンファレンス NIPPON 2011に参加した。仙台から参加となるとお金も時間もかかるし,この日程だとすでに2学期が始まっているということもあって,最近はなかなか参加できずにいたが,やはり参加すると,毎回新しい学びがあり,昔からの仲間との再会があり,知識とやる気とエネルギーをもらうことができる。今回も素晴らしい2日間だった。

2002年に初めて開催されたこの研究会も,今年で10周年を迎えた。実は第1回の2002年に分科会で発表する機会をいただいて「ビデオによる視覚支援2例」という発表をした。今回10周年ということで,もう一度発表しませんかというお誘いをいただき,いいチャレンジを与えられたと思って,発表させていただくことにした。

いや,本当のところは,自分にその役が務まるとは思えなかったのでお誘いを受けるかどうかしばらく悩んだ。最近の自閉症療育事情にはまったくついていけてないし,TEACCHプログラムに基づく実践も皆さんに紹介できるレベルでできているわけでもない。

Finder001_2皆さんにお伝えできるとすれば,昨年度まで高等部で取り組んでいた,生徒の主体性を引き出す研究のこと。体験学習サイクルを意識した指導で生徒にたくさんの成功体験を与え,自己効力感を高めるという考え方や,その実践から導かれた「主体性を引き出す14の手だて」は,全国からカンファレンスに集まってくる意識の高い皆さんに,お伝えする価値があるかもしれないと思った。

そんなわけで,自閉症カンファレンスなのに,話の中に「自閉症」という言葉がほとんど出てこない発表ではあったが,時間をいただいてお話しをしてきた。分科会の進行をつとめていた村松陽子先生には,自己肯定感を高めていくことはとても大切で,その具体例を紹介してくれたのが良かったという趣旨のコメント(ちょっと記憶が曖昧…)をいただいたりして,会場の皆さんに概ね好意的に受け止めていただいたようでホッとした。

講演要旨:目標設定と体験学習サイクルで生徒のチャレンジを引き出す(自閉症カンファレンスNIPPON 2011)
http://hiroy.kir.jp/autism-conference2011.pdf

ビデオによる視覚支援2例(自閉症カンファレンスNIPPON 2002)
http://hiroy.kir.jp/tokushu/conference02/kouen/index.html

興味深かったのは,TEACCHにあまり関係がないと思っていた自分の発表の中に,メジボフ教授の講義内容と関連するところがいくつかあったところだ。自分たちが取り組んできたことに裏付けを得た気持ちで,これにはとても勇気づけられた。

ところで,余談にはなるが,今回の発表で私はひとつの挑戦をした。それは,発表のプレゼン資料を iPad2 でつくり,iPad2 の Keynote(プレゼンアプリ)で発表すること。

iPad2 に Apple VGAアダプタ をつなぐと,iPad2のディスプレイに映っている映像を液晶プロジェクタに出力することができる。特に難しい設定はなく,接続するだけで簡単に表示される。そうやって表示させたプレゼン画像を,iPad2 と Bluetooth接続した iPhone の Keynote Remote アプリで操作すると,iPhone でスライドをめくったり,発表原稿のメモを見たりすることができる。iPad2 を一度も触らずに,iPad2 の置き場所を気にすることもなく,お客さんの方を向いてプレゼンを進めることができて,とても快適だった。

323121_203634869696229_100001491538写真は,iPad2 の Keynote アプリでプレゼンをつくっている時の様子だ。iPad2 の Keynote アプリは,Mac本体の Keynote アプリよりシンプルなつくりになっていて,使えるフォントやトランジッションが少ないなど制約が多かった。でも,使っている間にその制約にも慣れて,アプリがシンプルな分,プレゼンもシンプルなつくりになって,かえって良かったかもしれない。ただ,プレゼン画面と発表者ノートの編集画面を同時に出せないので,プレゼンを見ながらセリフを考えて入力するのは辛かった。その作業だけは,データをパソコンに移動して編集し,それを iPad2 に戻すというやり方で行った。


2011年8月10日 (水)

高校生・青少年赤十字リーダーシップトレーニングセンター(宮城)

8月2日〜4日の2泊3日の日程で,国立花山青少年自然の家を会場に高校生の青少年赤十字リーダーシップトレーニングセンター(トレセン)が行われた。参加した生徒は32名。その中には,今回の震災で津波の被害を受けた宮城水産高校,石巻商業高校,石巻好文館高校,石巻工業高校の生徒もいた。

平成6年から毎年指導者として参加しているが,今年は震災対応で日本赤十字社宮城県支部が大変なことになっているので,てっきり実施されないものと思っていた。ところが,日赤は「こんなときだからこそやる」と言って開催した。震災後のこの時期に,高校生の青少年赤十字(JRC)のメンバーが集って,2泊3日の時間を共にしたことには大きな意味があったと,トレセンが終わった今,しみじみと感じている。

トレセンの中の重要な活動にワークショップがある。5名程度の小集団に分かれて,身の回りにある問題点を一つ取り上げて,それをJRC活動でどのように解決していくかを話し合う活動である。話し合った成果はJRCの活動企画の形にまとめて,最終日に発表する。

指導者からテーマを与えるときもあれば,与えないときもあるのだが,昨年度は「津波」というテーマを与えて話し合いを行った。昨年度の開催場所は志津川自然の家だったので,ワークショップに先立って,志津川の海沿いの集落をグループごとに歩いて,津波の時の避難路を示す看板などを見学した。その集落は,311の津波で壊滅的な被害を受けた。

そんなこともあって,今回の震災後に行われるトレセンで「震災」を無視して進めるわけにはいかなかった。しかし,参加する学校の中には校舎が津波に襲われて被害を受けた学校もある。生徒の中には,自宅が流されて仮設住宅で暮らしている生徒もいる。そのような「災害まっただ中」の状況で震災をテーマにトレセンを行うことで,生徒の心の傷をさらに深くすることにつながらないか? そんなことを心配しながらの開催であった。

以下,私が印象に残った部分を中心に振り返る。

<アイスブレーキング>

毎年私が担当する,トレセンで一番最初の活動が,このアイスブレーキング。冒険の森で行う予定だったが,霧雨が降ってきて,会場をオリエンテーション室に変更。予定していた活動のいくつかを差し替えざるを得なくなり,私としてはちょっと残念なスタートだった。しかし,生徒たちの作文によれば,この活動によって緊張した気持ちから解放されて,トレセンの3日間に前向きな気持ちになれたようだ。

・キャッチ
・ラインナップ(今朝の起床時間,通学時間,寝る時間,ニックネームの50音)
・ネームトス(右左の人を覚えてシャッフル)
・カテゴリー(携帯のキャリア,学年,ワークショップのグループ)
・ミラーストレッチ
・道場やぶり
・ビート

<学校紹介と震災体験の共有>

P1000100_21日目の夜に,学校紹介と震災体験の共有の時間を持った。生徒たちがそれぞれの学校でどんなふうに震災を体験し,それを乗り越えようとしているか。その一生懸命さが発表から伝わってきた。生徒たちは互いに真剣に仲間の学校の話を聞き,私たちは生徒たちのそういう姿にジーンとするものを感じた。

生徒たちが震災体験をどう伝え,どう受け止めるのか。私たちは不安で一杯だったが,生徒たちの様子を見て,安堵すると共にやってよかったと感じた。また,今回のトレセンメンバーはいつも以上に仲が良くなって一体感のあるチームになっていったのだが,そのスタート地点がここにあったと,今,感じている。

<ひまわりオジサンの講話>

2日目の午前中に,ひまわりオジサンの名前で知られている,NPOひまわりの夢企画の荒井勣さんに講話をいただいた。ひまわりオジサンは,阪神淡路大震災のときに震災ボランティアをはじめ,以来,日本各地の被災地でボランティア活動をされている方である。今回の東日本大震災でも全国からお茶わんを集めて仮設住宅の被災者に無料で配布するという「お茶わんプロジェクト」に取り組んでいる。

今回のトレセンを「震災」に焦点を当てて進めるに当たって,ぜひ荒井さんに話をしてもらって,震災時のボランティアとは何なのかを生徒たちに感じてもらいたいと思った。人生をかけてボランティアに取り組むひまわりオジサンの話に,生徒たちは感銘を受けた様子だった。また,ボランティアを行うに当たって,発想力と実行力が必要だと思った生徒たちも多かった。講話の後,班ごとに感想を話してレポート用紙にまとめたものを紹介する↓。

P1000135 P1000136

・東日本大震災の被災地にお茶わん(食器類)を贈ろう!
 http://sphinx.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-ff1f.html

<先見>

Img_2328今回の震災を体験して,身をもって感じたことの一つに,少し先の未来を見通すことの大切さがある例えば,支援物資は必要なものが刻々と変わっていった。今、必要なものが明日はいらなくなる。そのような状況の中で、必要になってから集めても意味がなくて,あらかじめ次を想定して集めておかないと役に立たなかった。

青少年赤十字のトレセンには「先見」という時間が朝一番の活動として設けられている。1日の最初に,これから起こる出来事について心の準備をしておくための時間である。今までは,生徒の個々の取り組みに任せていたところがあったが,私たちが震災で学んだのはこの「先見」の大切さであると気づき,今年はこの「先見」を生徒に意識的に伝えていこうと考えた。

そこで今回は,朝6時半に研修室に集合し,そこから施設周辺の自然のなかに一人で歩いて行き,誰ともしゃべらずに時を過ごすという活動にしてみた。みんな黙って思い思いの場所に歩いて行き,自然の中に佇みながら,自分に向き合っている姿が見られた(写真はその時に私が森で見ていた景色)。その後,トレセンのいろいろな場面で「先見」に関連付けて活動を進めることができた。荒井さんの講話の中にも,先を見て動く大切さについての話があった。最終日に書いた作文にも先を見る大切さについて触れた生徒が多く,生徒たちの心にしっかり刻まれたと思う。

<気づき,考え,実行する>

トレセン2日目から小グループに分かれ,「今,JRCができる震災ボランティア」というテーマでワークショップを行った。被災地の高校生として,またJRCの一員として,震災で苦しんでいる人にどんなことができるのかを考え,話し合った。JRCには「気づき,考え,実行する」という態度目標がある。ワークショップは,この「気づき,考え,実行する」を練習する場という位置づけである。

3日目に,話し合った成果の発表会を行ったときのこと。今年は話し合いの時間が例年より短かったこともあってか,発表内容のレベルがやや低かった。発表時間も与えられた時間の半分以下の班がほとんどで,すべての班が発表して講評を終えた時点で30分近く余っていた。そこで「今から20分の時間をあげるから,自分たちの企画内容についてもう一度考えて,修正点を模造紙に赤で書き入れてみよう」とやってみた。さらに残りの10分で各班から修正点の発表もしてもらった。

こういうやり方ははじめてだったが,これがとっても良かった! わずか20分の修正で,それぞれの班の企画内容が格段にレベルアップし,実現可能なものになった。生徒たちには「気づき,考え,実行する」ってこういうことだよ,と伝えた。

<ナイトハイク>

例年だと2日目の午後に,グループで野外を歩くフィールドワークを行うのだが,今回は震災をテーマにしていろいろ日程をいじったので,フィールドワークができなかった。その代わりに,2日目の夜に暗闇の森を歩く「ナイトハイク」をはじめて実施してみた。

ワークショップの班ごとに,ランタン1つと懐中電灯1つの灯りだけで,真っ暗な森を歩いてくる。迷ったりケガをしたりする生徒がでるといけないので細心の注意を払って実施したが,生徒たちには安全が守られすぎたようで,「もの足りない〜」と言いながら帰ってくる生徒が多かった。

それでも,森の中でライトをすべて消して,森の中から聞こえてくるいろんな音に耳をすませた経験が,とてもよかったと作文に書いた生徒がいた。生まれて初めてホタルを見たという生徒もいた。

<全体を振り返って>

そんなこんなで,いつも以上にあっと言う間の3日間が終わった。3日目には「みんなと分かれるのはさびしい」「この仲間で1つのクラスならいいのに」という声が聞こえてきた。トレセンの3日間を過ごすと,毎年必ず別れがたい気持ちになるものだが,今年の生徒は例年以上に3日間で結びつきを強め,仲よくなっていた様子だった。

きっと「震災」という非常時の中での3日間ということが,その理由の一つだろう。上に書いた活動以外にも,例えば救急法では三角巾で負傷者の手当をする方法を学んだ。震災の記憶の新しい生徒たちなので,いつも以上に熱心に取り組んでいた。

トレセンを行う前は,震災を話題にすることで,心の調子を崩してしまう生徒がでるのではないかと心配したが,生徒の様子を見ている限り,そのようなことはなかった。むしろ,震災という共通体験でみんながつながり,これから自分たちのできることをしっかりやっていこうという意欲が芽生えたようだった。

実は,このトレセンであるグループが企画した「笑顔・夢プロジェクト」という活動が,トレセンの3日後の日曜日に,東松島市の仮設住宅で実際に行われた。次の記事で詳しく書くが,そのプロジェクトには,企画したグループの生徒だけでなく,他のグループの生徒もたくさんサポートメンバーとして参加した。

2泊3日ともう1日のボランティア体験は,生徒たちにとってとても大きな学びの場となったと思う。この震災を体験した被災地の高校生たちが,これからどうなっていくのか,多くの人が注目していると思う。高校生は社会に影響を与える力を十分に持っている。この震災体験から何かを学んで,立ち上がってほしい。このトレセンがそのきっかけの一つになればうれしい。

体験ベースのクラスづくりワークショップ(1st Stage)

Mapws07317月31日(日)に,MAP研究会主催の教員向け講座「体験ベースのクラスづくりワークショップ」を開催した。教員経験が1年〜数年の若い先生(講師を含む)からベテランまで,20名の参加者が集まった。

このワークショップは,今回の震災を受けて急きょ開催されたものである。私たちのもとには,津波の被害を受けた沿岸部の学校で,特に若い先生がクラス運営に苦労しているという声が届いていた。津波の被災地では,二つの学校を一つの校舎に押し込めて学校運営せざるを得ない地域もあり,こどもたちも教職員も互いに疲弊していて,なかなかいつもどおりの穏やかな学校生活を送ることが難しい。

加えて,例年夏休みに行われている初任者の宿泊研修も今年は行われず,県の予算を復興に重点配分したために,教員のMAP研修会も今年度はまったく行われないということで,若い先生が悩みを分かち合ったり,ベテランの先生からアドバイスをもらうという機会も激減している。

そのような状況の下,MAP研究会が果たすべき役割があるだろうという話が6月の総会で持ち上がり,短い準備期間であったが,教員向けにMAPの講習会をすることになった。講習会の名称は「体験ベースのクラスづくりワークショップ」。今までの「MAP体験会」のような名前を敢えてつけずに,参加者に伝えたい内容をストレートに講習会名にした。

今回のワークショップのメインテーマはフルバリュー。児童生徒や担任の先生が,互いの存在や気持ち,考えを互いに尊重しあって,安心してその場にいられる教室をどうつくっていくか。これを1日の活動(体験)を通して学んでいくことにした。ワークショップのチラシには,次の3つのポイントを明記した。
・安心していられる教室をつくる
・互いに協力できる人間関係をつくる
・みんな笑顔で楽しめる活動の数々

互いに尊重しあって,安心していられる教室をつくるための手だてが「ビーイング」である。1日の活動時間を大きく3分割して,序盤はビーイングをつくるために必要な活動と雰囲気づくり,中盤はビーイングづくり,そして終盤はつくったビーイングを活用する方法を,それぞれ体験的に学んだ。

今回集まった参加者の集団が,そのままクラスのこどもたちの比喩となっている。参加者は個々のこどもたちがどんな気持ちで集団に参加しているかを自分の気持ちとして感じながら1日を過ごした。と同時に,1日の活動は,ひとつのクラスの1年の比喩になっている。10時にワークショップが始まったときは,互いに知ってる人が少ない「始業式」の頃。そしてお昼休みは「夏休み」。午後の活動が2学期,3学期で,活動が終わるときが終業式である。

【序盤の活動】
さて,序盤は互いに出会い,一人一人の名前や人となりを覚えながら,この集団での立ち位置を自分なりに探っていく時期である。

Img_3421 Img_3422 Img_3423

・キャッチ
・ラインナップ
・ネームスクランブル
・道場やぶり
・はい・いは・どん
・フープリレー
・デートの約束〜曜日でデート
・キーパンチ

と進んでいく。活動が進むにつれてどんどん気持ちがほぐれていき,キーパンチではいろんな意見が飛び交うようになってきた。

【中盤の活動】
集団で共通体験をある程度積んだところで,この集団のルールやマナーについて確認していく。一人一人の参加者がどんな気持ちで,今ここにいるのか。この集団にどんなことを望んでいるのか。言葉に出して,紙に書いて確認しあう。

Img_0635 Img_0639 Img_0643

・トレジャーハンティング
・ビーイング

今回のビーイングは,両手の形を書いて,左手の中に「学びやすい集団になるために自分がこうなりたいという目標」,右手には「そのために,今から自分がしていくこと」を書いてもらった。そして,みんなの手の輪の中に,「こんな集団になってほしい」「みんなにこうしてほしい」と思うことを書いてもらった。

手の型を取ってねというと,皆さん紙の端っこに手を並べようとする。それが,ちょっとした一言をもらうことでその呪縛から解かれて,写真のように躍動感のあるビーイングになっていった。

【終盤の活動】
ビーイングができたら,あとはそのビーイングを使いながら,さらに育てていくという体験である。

・Zoom/Re-Zoom
・エブリバディ・アップ

Re-Zoomの活動を「互いに見せてはいけない」というルールで取り組んだとき,どうしてもうまくつながらない小集団ができた。その場面で,参加者は全員で輪になって,互いに自分の持っている情報を伝え合った。全員の情報を共有した結果,その小集団のつながる場所が見えた。これはビーイングに書いた「みんなで!」という言葉が生きた場面だった。

また,二つの活動が終わってから,みんなでビーイングの周りに集まって,活動について話し合った。その中からいくつかのキーワードを,ビーイングに追加した。

【まとめ】
まとめは,1日の活動を通して学んだことを,自分の学校や教室に持ち帰るための時間である。1日の活動をしただけでは,教室にうまく持ち帰ることは難しい。活動の意味や自分の気持ちの変化などを振り返り,自分のクラスの状況と結びつけながら考えることで,どうやって持ち帰ったらいいかが見えてくる。

・振り返り(今日の気づきと学び)1人で考えてプリントに記入→3人組で話し合って共有
・プチ講座(フルバリュー/体験学習サイクル/チャレンジバイチョイス)
・フルバリューカードでひと言
・ヒューマン・チェア

4時半までの講座だったが,終了時間を30分もオーバーしてしまった。それでも,フルバリューカードの中から自分の気持ちに合った写真を1枚選んで,今の気持ちを発表してもらったときに,今回のワークショップをやって良かったと強く感じた。と同時に,こどもたちや先生が大変な日常を過ごしているんだなと,あらためて感じさせられた。

今回のワークショップは,PAJのはるみちゃんに全面的にスーパーバイズをいただいて行われた。また,東京都の派遣教員として南三陸町の入谷小学校の支援に入ってくれていたKAIさんには,私たちと一緒にファシリテーターとしてワークショップをつくっていただいた。さらに,玉川大学で冒険教育の研究をしているりょうちゃんも,このワークショップのために東京から来ていただいて,はるみちゃん,KAIさんとともに準備過程から3日間を共に過ごした。多くの方々の支援があって,ワークショップを開催することができた。この場を借りて皆様に感謝を申し上げます。

2011年3月 6日 (日)

宮城県立光明支援学校高等部の研究が今野賞を受賞

報告が遅くなったが,昨年度(2009)の宮城県立光明支援学校・高等部の研究報告が,今野賞を受賞した。happy01

今野賞は,宮城県で長く教鞭をとられていた今野芳雄先生の遺志を継ぎ,宮城県の特別支援教育の推進を図るために設けられた賞で,今年がちょうど20回目にあたる。四つの募集部門があり、それぞれ功績の顕彰と研究の助成を行っている。今回は,今野賞の審査員を務めているうちの校長の推薦もあり,課題研究助成部門(C)に応募した。

昨年秋に募集があり,1月早々に結果が通知された。みずほ信託銀行仙台支店で表彰式が行われた時の様子は,事務局が置かれている宮城教育大学附属特別支援学校のブログに写真入りで紹介されている。

特別支援教育「今野賞」表彰式が行われました!!
http://blog.canpan.info/huzokushien/archive/231

受賞した研究報告のテーマと要約を,このページの一番下に掲載した。受賞論文は,年度末あたりに宮城教育大学附属特別支援学校のホームページに掲載される予定だ。

ブログの記事にも書かれているが,講評の中で「特別支援教育だけではなく,すべての学校にとって参考になる研究だ」という言葉をいただいた。この研究を進めるに当たっては,研究に携わった教員が将来どこに転勤しても,その転勤先で役に立つものにしたいと考えてやってきた。それだけに,講評のこの言葉は,私にとってたいへんうれしいものであった。

また,同じくブログの記事の中に出てくる「主体性を引き出す14の手だて」は,昨年度の研究の大切な成果である。高等部の約60名の教員に,主体性を引き出すことができた事例のレポートを年間3本出してもらって,そのレポートを分析する中から抽出されたものだ。つまり,この14の手だては,私たち高等部の教員がよく使って,手応えを感じたものを集めたものだ。

校内研究でよくありがちなのは,研究部が「このような手だてで授業をしてね」と押しつけて,研究授業に当たってしまった先生が,イヤイヤ取り組むというものだ。自分が手がける研究はそんな意味のないものにしたくなかったので,できるだけみんなに自由にやってもらって,その中から意味のあるものを探しだそうと試みた。全員の実践レポートの束の中から掘り当てたのが「主体性を引き出す14の手だて」である。

主体性を引き出す14の手だて(宮城県立光明支援学校高等部,2009)
 1)生徒に目標をしっかりもたせる
 2)生徒が記録をつける
 3)生徒が選択する
 4)生徒に責任をもたせる
 5)同じ活動を繰り返す(反復・復習)
 6)生徒同士の学び合いの場を設定する
 7)生徒が学んだことを発表する場を設定する
 8)生徒の特性や興味・関心を生かす
 9)段階的に指導する(スモールステップ)
10)視覚支援を欠かさない
11)しっかり体験,すかさず振り返り
12)プラスのフィードバックが与えられる環境
13)安心できる環境
14)家庭との連携

実は,そんなに特別なことが並んでいるわけではない。ごく当たり前の観点が14個並んでいるだけである。しかし,研究報告には,それぞれの手だてを高等部の教員がどのように使ったのか,たくさんの実例を簡潔に説明してあって,手だてをどのように使えばいいのか理解しやすいようになっている。例えば,「安心できる環境」とはどういうことか,それをどうつくったのか,「生徒が記録を付ける」とはどういうことか,どんな記録をつけたのか,そういう具体例が複数紹介されている。

この研究報告は,本校高等部の教員すべての力を結集してできたものだ。それが「今野賞」という一つの形になったことが,私にとってはなによりの褒美である。

あ,ちなみにこの教育賞は助成金をいただくことができる。今回は10万円もいただいた。この助成金の使い道はもう私の中では決まっていて,iPad2 と iPod touch,それらの周辺機器を買う予定。来年度,Voice4u を使っていろいろやってみたいと期待をふくらませている。

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今野賞 C部門
山口裕之・宮城県立光明支援学校高等部
<研究テーマ>
 生徒のチャレンジを引き出す授業づくり
 ― 体験学習サイクルを生かした授業の組み立てと実践の共有 ―
<要約>
 本校高等部の生徒の主体的な学習への参加を引き出すために,授業の中で生徒が学習課題に自らチャレンジする場面を意識的に設定し,授業の組み立てを目標設定・チャレンジ・振り返りの体験学習サイクルにそった形に再構築した。また,互いの授業実践を研究授業やレポートの形で共有し,生徒のチャレンジを引き出すためのスキルを高めるように学び合った。
 4回の研究授業と事後検討会,1年間の各自の実践から抽出された3冊の実践レポートとその発表会から,生徒の主体性を引き出すための14の手立てを抽出するとともに,次のような成果を得ることができた。
(1)体験学習サイクルの視点で授業を組み立てることで,教師も生徒も授業展開の中の目標設定(導入)と振り返り(まとめ)に意識が強く向くようになり,授業の組み立てが今まで以上に生徒の「体験」を重視したものになった。
(2)チャレンジ場面を設定して成功体験を積み重ねることは,生徒の学習意欲を高めるだけでなく,生徒同士の仲間意識やライバル意識も高めることができ,他者にかかわる意欲を向上させることにもつながった。
(3)実践レポートなどで授業実践を共有することで,教師が互いの実践をよく理解することができ,さらに自分の授業を改善するヒントを得ることができた。

キーワード:体験学習サイクル 目標設定 振り返り 成功体験 主体性 自己効力感

2011年1月 1日 (土)

新年にあたり自分の目標を再確認

2011年の幕開けです。
今年もどうぞよろしくお願いします。

1年前の年賀状は,寅年にちなんで世界に棲息するトラの頭数のクイズだった。

2010年1月 1日 (金)
今年もよろしくお願いします!
http://sphinx.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-7a40.html

今年は喪中で年賀状は出さないが,卯年ということで同じようにこの話から。

WWFの活動
「トラウサギ?」幻のウサギがすむスマトラの森
http://www.wwf.or.jp/activities/2010/12/958127.html

さて,うさぎ年と言えば,うちの息子のtaroがうさぎ年。12年前の1999年生まれだ。12年前はこんなにかわいい子は世界中のどこにもいないと断言できるほどかわいい赤ちゃんだったが,12年間の間に歩くようになり,しゃべるようになり,友達もでき,ニキビもできて,どこにでもいそうな普通の少年になった。次の12年では,中学生,高校生,大学生,そして社会人だ。どんな成長を見せてくれるか楽しみだ。

私と言えば,この12年の間に,光明養護学校→名取養護学校→蔵王高校→光明支援学校と,勤務校がグルッと一回りした。高校と特別支援学校を行ったり来たりしているが,やりたいことがコロコロ変わっているわけではなく,自分の中では一貫性がある。

それは,体験学習法を基盤にした教育を追求すること。そして,それを通して幸せに生きる人を増やすこと。「幸せに生きる人」というのは,自己効力感を感じ,目標を持って,他者と協同しながら自分の力で人生を切り開いていく人のことだ。自分のことを価値がないと思ったり,他人にモンクは言うけど自分は何もしないというような人生ではなく,この世に生を受けたことを互いに喜び合える,そんな人が増えてほしい。

こういうことは教員になったときから思い描いていたが,それを具体的にどうすれば実現できるかを私に教えてくれたのがプロジェクト・アドベンチャーである。プロジェクト・アドベンチャーに出会ったのが,ちょうど12年前の1999年。そして翌年,プロジェクト・アドベンチャーを宮城県の教育に活用しようというMAP(みやぎ・アドベンチャー・プログラム)がスタートする。プロジェクト・アドベンチャーやMAPに出会って,初めて私は教員として成長をはじめたと思う。

「学校は未来の社会だ」という言葉を,最近いつも頭の片隅に置いている。学校で起こっていることは,数年後,数十年後に社会で起こることだ。社会に幸せな人を増やすためには,学校を幸せな場所にしなければいけない。そのためには,自分自身がもっとスキルアップしなければいけないのは当然だが,周りの教員にも同じ夢を見てもらう必要がある。この点が,今の私の最大の興味だ。学校に1人や2人の変わり者がいるのではダメ。多数派にならないと。MAPは10周年を過ぎたが,残念ながらまだ少数派に甘んじている。まずはここから変えていこう。

自分の教員人生も残りがそんなに長くない(あと16年)。次の卯年が来るまでにはゴールを間近にとらえられるようにしたい。今年は去年よりもエンジンをふかしていこう。

2010年11月16日 (火)

宮城県立光明支援学校で主体性をテーマにした公開研究会

12月10日(金)に,宮城県立光明支援学校で公開研究会が行われます。研究主題は「自立に向けて,主体的に学ぶ生徒の育成を目指して」です。2年間の研究の2年目の研究です。

公開当日は,小・中学部および高等部の授業公開,各学部の分科会,そして宇都宮大学教育学部の梅永雄二先生の講演が予定されています。多くの先生に参観していただき,学びを深める1日にしたいと思って,このブログでもご案内します。詳しくは,こちらの案内文書をご覧ください。

宮城県立光明支援学校 創立50周年記念 自主公開研究会 (ご案内) PDF
参加申込書(Word ファイル)
宮城県立光明支援学校

私は高等部の研究担当という立場なので,高等部の研究について少し補足します。

高等部の研究主題は「生徒のチャレンジを引き出す授業づくり」です。うちの高等部の生徒の主体性を引き出すために必要なことは,自己肯定感自己効力感)を高めることと,他者にかかわろうとする意欲を高めることというのが基本的な考え方です。

そのために必要なのが,日々の授業の中にある「成功体験」です。「自分でできた」という成功体験を積み重ねていくことで自己肯定感を高め,「自分はできるんだ」という自己効力感を向上させていきたいのです。

成功体験を得るための場面設定が研究主題にある「チャレンジ」です。チャレンジというからには成功を約束されたことをするのではありません。失敗するかもしれない。でも,仲間に励まされ,あるいは仲間と一緒にチャレンジして,それをやり遂げることで,自己効力感の向上と,他者とかかわる意欲を高めていきたいと思っています。

教師は,チャレンジを成功体験に導くために,体験学習サイクルにそった授業展開をします。目標設定をして,チャレンジし,それを振り返る。なぜそのような結果になったのかを考え,次のチャレンジに生かす。そういうサイクルを回しながら,成功体験のレベルを上げていきます。

…と書くのは簡単ですが,それを実行するのはなかなか大変。まだまだ発展途上で突っ込みどころも満載です。でも,この2年で生徒たちの雰囲気が変わりました。以前よりも全体的に積極的で明るい雰囲気になったと思います。

先日,高等部の研究の時間に,「今の生徒たちの主体性はどうだろう,研究を始める2年前と比べて変化したか」という話し合いをしました。その話し合いのなかでも,よい方向に変わったという意見が多く聞かれました。面白かったのは,生徒がどう変わったかという話をしてと言っているのに,教師についての話題がとても多かったことです。生徒も変わったけど,実は「変わったのは私達(教師だ)」という声がそこここから聞かれました。

普段のすべての授業が,上に書いたように体験学習サイクルに基づいて行われているとは,まだまだ言えないのですが,それでも2年前に比べて「そうそう!」と膝を打ちたくなる授業や生徒とのかかわり方が増えたのも事実です。

ぜひ公開に来ていただいて,私たちのチャレンジに叱咤激励をいただければと思います。そして,楽しい学びの1日にしましょう。皆様の参加をお待ちしております! (あ,蛇足ですが,高等部の分科会はワールド・カフェっぽくやる予定です)

2010年3月15日 (月)

感情コントロール The CAT-kit 指導法セミナー(基礎講座)を受講した

昨日,北海道の帯広にほど近い芽室というところで開催された,The CAT-kit の指導法セミナー(基礎講座)を受講した。今は札幌のホテルの一室でこれを書いている。

さて,The CAT-kit の CAT というのは Cognitive Affective Training の頭文字で「認知的感情トレーニング」とでもいった意味だ。主に発達障害の人を対象に開発された,感情認識とコントロールのための学習教材(群)である。自閉症の人の特性にしたがって,目に見えない「感情」というものを,目に見える形で理解できるように工夫されている。この講座の参加費には教材のお金も含まれていて,分厚いファイルに綴じ込まれた教材一式を受け取ることができる。

講座の内容は,午前中が服巻智子先生の講義で,自閉症の人の感情の特性についてと,CAT-kitによる指導の概略について。午後は前半が「それいゆ」スタッフからの事例報告,後半が服巻先生による CAT-kit を使いながらの体験的な学習だった。

受講して思ったことは,発達障害(発達年齢7歳以上)のこどもや大人にかかわるすべての支援者に,この指導法を知ってほしいということだ。

外国ではどうなのか知らないが,少なくても日本では,親はもちろん教員も,こどもたちの感情について指導・支援するためのトレーニングを受けていない。それなのに,家庭や学校では日々感情に起因する問題が起こっているのである。そもそも,親や教師自身の感情をどうコントロールするかすら個人に任せられている状況であり,周囲を見渡してみると,感情の処理がうまくいってない大人は(自分を含めて)たくさんいるのが現状だ。自分の感情もうまく取り扱えない人が,こどもたちの感情についてうまく支援できるとは思えない。

ところで,私がこのセミナーを受けようと思ったきっかけは,教材の中に「温度計」の絵を発見したからだ。感情の段階(例えば少し怒っているから激怒まで)を温度計の水銀柱に模して理解させるための教材である。

感情を温度計で視覚的に比喩するやり方は,私が以前から学んでいるプロジェクト・アドベンチャーの「対立がちからに」の中でも紹介されている。この中では「温怒計」という名前で,怒りの感情に特化した使い方をしている。

ずいぶん前の話になるが,とある高校に勤務していた頃,この「温怒計」を使って対教師の暴力事件を起こした生徒を指導したことがある。当時その生徒は1年生で,自分の感情をコントロールできない状況だった。たしか身なりを軽く注意されたことがきっかけで,激高して教師に向かっていったんだと思う。

その事件の特別指導の中で,「温怒計」をやった。まずその生徒の怒りの段階に名前をつけて目盛りに落とす。次に,それぞれの怒りの段階で自分がどんなふうになるのか,どんな場面・状況でそうなるのかを,対話しながら目盛りの近くに書き入れていく。最後に,この温怒計の上昇をおさえる(コントロールする)方法を一緒に考える。

最後のコントロール方法の話し合いの中で,生徒が選んだ方法は「水を飲みに行く」だった。私はそれを聞いたとき,そんな方法で本当に気持ちを落ち着かせることができるのかな? と思ったのだが,自分で決めた方法なので,それをぜひやってみるようにと励ました。そうしたらその生徒は,その後,本当にそのやり方を実践して,暴力事件を再び起こすことなく卒業していった。

怒りの感情レベルを視覚化すること,その上でそれをコントロールする方法を一緒に考えることで,生徒は劇的に変わるということをその一件で理解できたので,The CAT-kit の教材のひとつに「温度計」を見つけたとき,これは使えるとピンと来た。

うちの高等部では,来年度,「人とのかかわり」を指導の重点項目としてかかげることになっている。というのは,それを掲げなければいけない状況が日々あるということだ。しかし,指導しなければいけないと分かっていても,何をどう指導するのか,そのコンテンツについては白紙のままだった。今回,The CAT-kit を学んで,関連する書籍を購入したことで,具体的な指導の中身が見えてきた。

最後に蛇足ながら付け加えると,本当にその生徒の感情に寄り添って指導できるかどうかが,CAT-kit による指導の成否を分けると思う。こちら側から生徒の感情を「正しく」操作しようという意図があるとうまくいかないだろう。CAT-kit はあくまでも,生徒が考え気付く中で,自分の感情コントロールの方法を身につけていくためのものだ。

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